Dreamforce ’25 レビュー:アイデンティティ、スピード、そして責任共有が導くクラウドセキュリティの未来

Dreamforce ’25において、セキュリティは単なる付随的な話題ではなく、メインステージの主役となりました。Salesforceの新しい「Security Mesh」から、ID保護の重要性の高ま…

今年(2025年)のDreamforceを象徴するテーマが一つあったとすれば、それは「セキュリティ」です。セキュリティはもはや付随的なトピックではなく、Salesforceエコシステム全体で共有すべき最優先事項として扱われていました。基調講演からブレイクアウトセッションにいたるまで、プラットフォーム上での日々のイノベーションの一環として、データ、アイデンティティ、そして「信頼」をいかに守るかという議論が交わされていました。

主役に躍り出た「アイデンティティ」

今回の大きな発表の一つが、OktaのCEOであるトッド・マッキノン氏と、Salesforceのチーフ・トラスト・オフィサー(CTO)であるブラッド・アーキン氏が登壇したセッションで行われました。両氏は、お客様がセキュリティ環境全体の可視性を高めるための新しいフレームワーク「Salesforce Security Mesh」を発表しました。これは、SalesforceにSOC(セキュリティオペレーションセンター)やSIEM(セキュリティ情報イベント管理)が組み込まれたかのような機能を提供します。

今回の議論の中心にあったのは「アイデンティティ」です。アーキン氏が指摘したように、攻撃者はユーザーのアイデンティティをますます標的にするようになっています。なぜなら、それが組織のネットワーク内に侵入し、内部を動き回るための最も簡単なルートだからです。この傾向はセキュリティ業界全体のトレンドとも一致しており、アカウント情報の流出が不正アクセスの第一歩となるケースが後を絶ちません。

基調講演の全編は以下からご覧いただけます(提供:Salesforce)

アイデンティティセキュリティへの関心が高まる中、WithSecureが新たに発表したソリューションは、まさに絶好のタイミングと言えます。私たちは、Cloud Protection for Salesforceの新機能として「アイデンティティ保護」をリリースしました。この機能は、パートナー、サプライヤー、そして顧客のアカウントが不正利用される前に、その流出を検知します。これにより、社内ユーザーに対して持っているのと同等の確固たる安心感を、社外のアイデンティティに対しても適用できるようになります。

セキュリティはチームプレイ

Dreamforceの期間中、ウィズセキュアの脅威インテリジェンス責任者であるKarmina Aquino(カルミナ・アキーノ)が、当社の顧客、見込み客、パートナー企業の皆様に向けてプレゼンテーションを行いました。そこでもう一つの強力なテーマが浮かび上がりました。彼女のメッセージは、極めてシンプルかつ明快でした。「Salesforceエコシステムにおけるセキュリティには、チームワークが不可欠である」ということです。

プラットフォームの保護は、Salesforce、パートナー、そしてお客様による共同作業にかかっています。リスクを効果的に軽減するには、人、プロセス、そしてテクノロジーを適切に組み合わせる必要があります。「責任共有モデル」は、単なる概念(フレームワーク)から、クラウド環境が相互に深くつながる現代において、すべての組織が持つべき「マインドセット」へと進化しているのです。

攻撃者のスピードに適応する

カルミナはまた、現在のSalesforceと、他の主要なクラウドプラットフォームの進化の歴史を比較し、洞察に満ちた指摘をしました。攻撃者は長年をかけてMicrosoft 365などの環境に対する戦術を洗練させてきましたが、今やその高度な手法を、ほぼ一晩にしてSalesforceにも応用しているのです。

お客様が持ち帰るべき教訓は明確です。「攻撃者の動きは速く、防御側はそれ以上に速く動かなければならない」ということです。

次なる波への備え 

Dreamforceでの会話は、未来の展望にも及びました。Data CloudAgentforceは、組織におけるSalesforceの活用方法を根本から変えつつありますが、同時に攻撃対象領域を拡大させることにもなります。

これまでは、Sales Cloud、Service Cloud、Experience Cloudといった従来のクラウド環境がインシデントの主な対象でした。しかし、企業がデータを自律的に処理し、ワークフローを自動化する「AIエージェント」を導入するにつれ、信頼性、ガバナンス、そしてプロアクティブな防御の必要性が急速に高まっています。

だからこそ、私たちからお客様へのメッセージはシンプルです。

「今日の環境をしっかりと守り、明日訪れるイノベーションの次なる波に備えましょう」

協調が生み出す進歩

Dreamforce ’25が証明したことが一つあります。それは「誰も立ち止まってはいない」ということです。Salesforceは、Security Meshや可視化ツールの向上といった取り組みを通じて、プラットフォームの強化を続けています。WithSecure Cloud Protectionもまた、「Identity Protection」や強化された「Agentforce保護機能」などの新しいケイパビリティを提供し、プラットフォーム内でのイノベーションを推進しています。そしてお客様自身も、ガバナンス、コンプライアンス、リスク管理に対して、より先を見越した主導的なアプローチを取るようになっています。

セキュリティは、あらゆるビジネスレベルの会話において不可欠な要素となりました。それこそが、本来あるべき姿です。

Dreamforce ’25は、Salesforceエコシステムがどれほどの進化を遂げてきたか、そして、より強固でスマートなセキュリティを通じて信頼を築くチャンスがどれほど残されているかを示してくれました。「アイデンティティ」「コラボレーション」「スピード」が、クラウドセキュリティの次のフェーズを形作っていくでしょう。私たちは皆様と共に、すでにその未来へと歩みを進めています。